WORK GUIDANCE

現場監督入門

現場の第一線に立つ工事の司令塔。

技術系社員のメイン業務である現場監督。
ここでは、実際に担当する工事やその進め方、やりがいを追います。

工事の種類

メンテナンス工事(発電設備関係)

当社のメイン事業といえるのが、火力・原子力発電所内における大型ボイラやタービンといった発電設備をはじめとした、さまざまな機器のメンテナンス工事です。日々実施する日常保守点検や小規模な修繕工事もあれば、国で定められているような、発電設備のユニットを停止して、一日に何百人もの人が作業にあたって実施する大型の本格定期点検工事もあります。近年では、再生可能エネルギー関連設備や自家発電設備のメンテナンスにも進出しています。また海外の発電設備にも活動の幅を広げるべく、体制の強化にも取り組んでいます。

建設・改造・設備更新工事

プラント事業本部では、発電設備をゼロから造る建設工事も手がけています。何もないところに100万kWh規模の発電設備を建設するといった、スケールの大きな仕事で、計画から完成まで3年~5年規模のプロジェクトとなります。既設プラントの改造工事としては、最近では石油を燃料としていた古い発電設備を、効率の良いガス発電設備や、地球にやさしいバイオマス発電設備へ改造する工事を実施しています。一方、原子力事業本部においては、東日本大震災以降、大幅に見直された原子力発電所の「新規制基準」に適合するよう、発電所全体の設備増強・更新工事を担っており、日本を支える重要なエネルギーである原子力発電の信頼性向上の一翼を担っています。

除却工事・廃止措置計画

老朽化や設備更新に伴い、役目を終えたプラント設備については、各種機器の除却工事を行う必要があります。「取り壊すだけ」と思われるかもしれませんが、発電プラントを除却するということは建設工事と同様大がかりな工事であり、高度な安全性や精確な技術が求められる仕事です。当社は原子力発電所の廃止措置計画にも参画をしていますが、こちらは約30年がかりのプロジェクトとなっています。数年前より、国や電力会社、メーカと協力体制をとり、ヨーロッパ等の先進国に視察を行いながら、工程・工法・技術の開発に着手。現在は各種調査工事を進めるなど、廃止措置の実現に向けて長期的な視野で取り組んでいます。

メンテナンス工事(各種プラント関係)

発電所には発電プラント以外に、燃料タンク、コンベア、核燃料関係設備といった燃料関係設備が設置されていますが、それらも当社のメンテナンスにおける守備範囲です。とりわけ、当社の燃料タンクの化学洗浄技術は多くのお客さまにご活用いただいています。さらには、発電所のメンテナンス事業で培った技術を活かし、近年では石油化学プラント内における回転機(ポンプ、モーター、各種圧縮機他)をはじめとした、発電プラント以外の設備のメンテナンス工事を手がけるなど、幅広く展開しています。

工事の進め方

当社のメイン事業である「メンテナンス工事」を例に、工事の進め方を説明します。

受注

お客さまから工事の依頼を受けると、現場の確認を行いながら、施工体制や工程・工法などを検討します。続いて、図面や工事仕様書といった書類をもとにお客さまと打ち合わせを行い、工事の細部についてすり合わせします。また、工事に必要な費用の算出を行い、施工予算を立案します。こうして、「ヒト・モノ・カネ・情報」を工事一件ごとに考えながら、工事内容を検討します。

各種準備

予算に基づき、協力会社(当社監督者のもと、実際に作業を行ってもらう会社)へ工事を依頼したり、社内の契約部門と連携しながら材料を購入したりと、各種手配を行います。同時に、協力会社と工程・工法について打ち合わせを行い、作業手順を確立します。「段取り八分」という言葉がありますが、さまざまなトラブルや想定外の出来事も視野に入れ、抜かりない準備をすることで、スムーズな現場対応を目指します。

設備も工事内容も多種多様。
当社の扱う設備は、かなり精密なものから巨大なもの、果てはさまざまな方々の英知を結集した機器まで、実に多種多様です。また工事期間も、一日で終わるものもあれば、数カ月にわたってメンテナンスを続けるものもあるなど、一件一件の工事がオーダーメイドです。プラント設備自体のスケールが大きく、さまざまな機器・設備に触れることができます。

着工

現場対応が始まる前にもさまざまな準備が必要です。メンテナンス前の設備状態の記録、協力会社作業員への各種教育、作業手順や安全品質に関する会議などを行い、現場対応に備えます。メンテナンスの基本的な流れは、設備の分解→点検・手入れ・部品交換→組立→検査→試運転→お客さまへの引き渡し、となっており、そのすべてにおいて状況を把握し適切な対応をする必要があります。

安全に、かつ円滑に進める。
現場監督は、多くの人とコミュニケーションをとりながら現場を動かしていく仕事。要領を得た正確な指示を出すことができれば、仕事が円滑に進みます。普段は雑談を交わしつつも、現場に入るとみんな真剣。安全を脅かしかねない行為に対しては、厳しく指導することも必要となります。工事にかかわるすべての人のモチベーションとベクトルを先導しつつ、現場で起こるあらゆることを最初から最後まで見逃さない立場を貫きます。

施工

作業開始前には毎日しっかりとミーティングを行うとともに、各現場においてはKY(危険予知活動)を実施します。現場監督の仕事は、現場で「作業」をするのではなく、さまざまな「管理」を行うこと。安全・衛生・品質・工程といった、ありとあらゆる事項の監督を行い、現場の責任者としてさまざまな調整を行うことにより、お客さまの求める施工を無事故・無災害で工期内に完了させるのがミッションです。

微かな異状サインも見逃さない。
私たちの扱う発電プラントは、無数の設備の集合体です。それぞれの設備が出す、細かな異音や肌触りの違いといった微かな異状サインは、確かな技術に裏打ちされた専門性を有している当社社員だからこそ気づくことができるもの。そこから設備の不具合が発覚し、原因究明と迅速な工事対応を行うことで、大きなトラブルが回避された事例はたくさんあります。

竣工

すべての作業が終了すると、お客さまの立ち会いのもと、ちゃんと施工要件を満たしているかの確認を行います。問題がなければ、工事報告書や検査記録といった関係書類を作成し、お客さまに提出します。その際、次回に向けて摩耗している部品の交換を提案するなど、お客さまの潜在ニーズをくみ取って報告するのが当社のやり方。これが付加価値となり、信頼獲得や次の仕事につながります。

機器の一つひとつに目を向ける。
何気ない作業も「社会インフラを支える」という使命を帯びています。たとえどんなに小さな機器であっても、その一つひとつがしっかりと性能を発揮することで、はじめて各プラントとしての役割を果たすことができるのです。また、そうした一つひとつの機器のクセを読み取り、伝え、受け継ぐことを繰り返すことが、エネルギーの安全・安定供給につながっています。

仕事のやりがい

使命感

現場は天候をはじめ、一日たりとも同じ日はありません。それでも、毎日の暮らしを支える電力が止まらないのは、現場監督が第一線を支えているから。電力の安全・安定供給に貢献するという使命感は、現場監督の仕事の何より大きなやりがいです。

提案

現場のことを一番わかっているのは自分。そんな自負から、工事に関するさまざまな提案を行い、それを採り入れてもらえる風土があるのは、大企業ではない関電プラントならでは。自分のやりたいことができるチャンスが、ここにはあります。

成長

実機の分解訓練なども行う関電プラントの教育研修。その充実ぶりは業界屈指といえます。しっかり教育して、現場では大胆に仕事を任せる。そうした人財活用が、本人の想像を超える成長につながっています。

チーム

現場監督の仕事は、一人で行うものではありません。実際に作業をしてもらう協力会社のメンバー、工事を発注してくださるお客さま、そして社内の各部門・・・。関係者すべてが一体となり、一つのチームとして工事をやり遂げたときの達成感は言葉にできません。

挑戦

これから事業が新しい分野へ広がるなかで、現場監督のあり方も変わっていくかもしれません。未知の領域にも臆することなく飛び込み、新しい試みに果敢にチャレンジしたいという人には、絶好の機会が待っているといえます。

スケール感

発電プラントや石油化学プラントにおいて、現場監督として扱う設備は非常に規模が大きく、最初はそのスケール感に圧倒されることも。しかし、その大規模な設備を「マイプラント意識」をもって扱う醍醐味は、現場監督ならではのやりがいとなります。